令和6年度
4月 堀田裕子 先生
今日は、東京に住む娘が時々帰ってきては目を丸くしながら語るびっくり話を少しご紹介させてください。
①すぐき
「お母さんあのな〜、すぐきって何?って言われた!冬の食卓によく並ぶ定番のお漬物が通じひん〜」ある日娘が嘆いていたのは、大好物の京漬物が認知されていなかったことです。京都のスーパーには、すぐきはもちろん千枚漬けにしば漬け・茄子やきゅうり・白菜の浅漬けなど、充実した漬物コーナーがあることが一般的ですよね。それが当たり前の光景だと思って育った娘は、沢庵しか並んでいない東京のスーパーに衝撃を受けたと話していました。「私はゆず大根が好き!」なんて、"推し漬物"があるのも、京都で育つからこそなのかもしれません。
②やきそば
「お母さん衝撃的!!東京の人って、焼きそばはお祭りでしか食べへんねんてー。焼きそばなんて我が家の夕食一軍メニューやんなぁ?」ある日娘に言われた一言に、私はぐうの音も出ませんでした。何を隠そう、一軍どころか大谷翔平もびっくりの我が家のエース級メニュー、それが焼きそばです。どんなに時間がない時でも、豚肉とキャベツさえ切れば下準備は完了。ソースさえかければ味付けも決まる焼きそばこそ主婦の味方。我が家の味方の定番メニューです。それがまさか、「お祭りで食べる屋台飯」の認識だったなんて。「焼きそばなしで夕食メニューのルーティンを回している家庭があるのか?」と、私は未だに半信半疑です。
③お雑煮の"ARE"
さてさて最後に。「なぁお母さん、関東のお雑煮、おすましにも"アレ"入ってないんやってー!」我が家はお正月に、白味噌とおすましの 2種類のお雑煮を作ります。娘の言う"アレ"とは、おすましの中に入れた薄切りのだし巻き卵のこと。まだ私が嫁入りすぐのころ、白味噌が苦手な主人のためにおすましを作ることになりました。お雑煮は白味噌で育った私にとって、おすましは完全に自己流。おせちに入れるだし巻きの切れ端を、「捨てるのはもったいないなぁ」と思った生粋の関西人の私は、何の気無しにおすましに投入しました。「なんだか彩りも良くて一石二鳥やん!」と思ったのが始まりです。そこから我が家のおすましには必ずだし巻きの切れ端が入っているのですが、娘にとってはそれが当たり前になっていたよう。私は思わず娘に謝りました。「ごめんな…、それは"うちだけ"やわ。」
そんなちょっぴりお恥ずかしい我が家の食卓事情ですが、このような会話を重ねるごとに感じることがあります。「うちだけ?」は意外と大切なことなのかもしれません。何の気なしに食卓に並んだ"名もなきご飯"も、お弁当に詰められた"母流アレンジのおかず"だって、数年経てばそれは「うちだけ」の、素敵な思い出になるはずです。そんな「うちだけ」を重ねることのできる時間は、本当にあっという間です。
みなさんの「これってうちだけ?」は、どんなことがあるでしょうか。見つける度に胸に広がる、あたたかくて優しい気持ちこそ、きっと何にも変えられない宝物なのだと思います。
我が家の「お雑煮のだし巻き卵」のように。
①すぐき
「お母さんあのな〜、すぐきって何?って言われた!冬の食卓によく並ぶ定番のお漬物が通じひん〜」ある日娘が嘆いていたのは、大好物の京漬物が認知されていなかったことです。京都のスーパーには、すぐきはもちろん千枚漬けにしば漬け・茄子やきゅうり・白菜の浅漬けなど、充実した漬物コーナーがあることが一般的ですよね。それが当たり前の光景だと思って育った娘は、沢庵しか並んでいない東京のスーパーに衝撃を受けたと話していました。「私はゆず大根が好き!」なんて、"推し漬物"があるのも、京都で育つからこそなのかもしれません。
②やきそば
「お母さん衝撃的!!東京の人って、焼きそばはお祭りでしか食べへんねんてー。焼きそばなんて我が家の夕食一軍メニューやんなぁ?」ある日娘に言われた一言に、私はぐうの音も出ませんでした。何を隠そう、一軍どころか大谷翔平もびっくりの我が家のエース級メニュー、それが焼きそばです。どんなに時間がない時でも、豚肉とキャベツさえ切れば下準備は完了。ソースさえかければ味付けも決まる焼きそばこそ主婦の味方。我が家の味方の定番メニューです。それがまさか、「お祭りで食べる屋台飯」の認識だったなんて。「焼きそばなしで夕食メニューのルーティンを回している家庭があるのか?」と、私は未だに半信半疑です。
③お雑煮の"ARE"
さてさて最後に。「なぁお母さん、関東のお雑煮、おすましにも"アレ"入ってないんやってー!」我が家はお正月に、白味噌とおすましの 2種類のお雑煮を作ります。娘の言う"アレ"とは、おすましの中に入れた薄切りのだし巻き卵のこと。まだ私が嫁入りすぐのころ、白味噌が苦手な主人のためにおすましを作ることになりました。お雑煮は白味噌で育った私にとって、おすましは完全に自己流。おせちに入れるだし巻きの切れ端を、「捨てるのはもったいないなぁ」と思った生粋の関西人の私は、何の気無しにおすましに投入しました。「なんだか彩りも良くて一石二鳥やん!」と思ったのが始まりです。そこから我が家のおすましには必ずだし巻きの切れ端が入っているのですが、娘にとってはそれが当たり前になっていたよう。私は思わず娘に謝りました。「ごめんな…、それは"うちだけ"やわ。」
そんなちょっぴりお恥ずかしい我が家の食卓事情ですが、このような会話を重ねるごとに感じることがあります。「うちだけ?」は意外と大切なことなのかもしれません。何の気なしに食卓に並んだ"名もなきご飯"も、お弁当に詰められた"母流アレンジのおかず"だって、数年経てばそれは「うちだけ」の、素敵な思い出になるはずです。そんな「うちだけ」を重ねることのできる時間は、本当にあっという間です。
みなさんの「これってうちだけ?」は、どんなことがあるでしょうか。見つける度に胸に広がる、あたたかくて優しい気持ちこそ、きっと何にも変えられない宝物なのだと思います。
我が家の「お雑煮のだし巻き卵」のように。
次は、金谷あすか先生です。